考えるゴルフの大切さを学ぼう!

プレー・クラブ

ゴルフの一番の魅力は何ですか?「仲間と楽しくワイワイできる」「年をとってからも続けられる」「大自然の中でボールを打つ感覚が最高」などなど。人によって色々あると思います。

私の場合は、「自分で考えて、攻略できるところ」と答えます。自分なりの根拠で、ああ打とう、こう打とうと思って、クラブの選択から打つ場所まで色々と考えを巡らせた結果、パーが取れたときの達成感は何にも代え難い喜びですよね。今回はそんな考えるゴルフの大切さをお伝えします。

コースマネジメントとは何か?

コースマネジメントと聞けば、ほとんどの皆さんが答えを想像できると思います。ちょうどドライバーで届きそうなところにバンカーがあるなら、そこまで飛ばないクラブを選択する事や、池の手前で1回刻む事など、要するに自分なりの考えでコースを攻略することの総称です。

さて、では皆さんは実際、コースでこのことを考えてプレーしていますか?残念ながら、プレーに夢中でそんなこと全く考えていないとか、自分はショットが不安定なので、そんなことを考えるようなレベルではないとか、そういった声をよく聞きます。プロ野球の世界で名将として知られ、ヤクルト、阪神、楽天などで監督をした野村克也氏は自身の著書で「打者を打ち取るための配球に、1球ごとに根拠を持て」と述べています。

根拠を持ってゴルフをプレーするのに、レベルは関係ありません。しかし、初心者ほどそうした根拠を軽視してします傾向が強いように思います。私自身も実はそうでした。

ゴルフを始めたばかりの頃、一緒に回っている経験者達は、ピンの位置がグリーンセンターから10y奥だとか、風がアゲているとか、フェアウェイの右は斜面が受けているから右側はセーフだとか…そんなことを話していました。

私はそんな情報は今の自分のレベルには無関係の話で、そんなのはもっと上手になってから考えればいいと勝手に思っていて、案の定、右側がセーフなのに、左に打ってOBしてみたりと、最初から分かっていたゴルフ場の罠にまんまと引っかかってばかりでした。

そんな時、ある上級者に言われたのが「根拠を持って打つことの大切さ」でした。それは初心者でもできるし、ある意味で初心者こそが意識しなければ上達しないことでもあるのです。

分かりやすいコースマネジメントの例を挙げてみましょう。例えば400yのミドルホールがあったとしましょう。グリーンがみえない右ドッグレッグのブラインドホール、右側は林になっていてOBゾーン。左は斜面で受けています。230y付近にバンカーがあり、グリーン周りにもいくつかガードバンカーが配置されていると仮定しましょう。

一般的によくあるコースレイアウトですよね。あなたはこのホールのティーグラウンドに立ち、まず何を思いますか?初心者の方で多いのは、ドライバーを握り、フェアウェイの真ん中に体の向きを合わせ、真っ直ぐ飛んでくれ!と思いながらスイング。ところがボールは大きくスライスし、右の林の中へ。前方の特設ティーからプレーイング4を選択し、1打でグリーンオンを狙うもボールは左に出てしまい、ガードバンカーへ。

バンカーから1発でナイスアウトは良いものの、グリーンのカラーから3パットしてようやくカップイン。合計8打を要したことになります。どうですか?いかにもありそうなパターンだと思いませんか?それって、私のこと?と思った方も多いと思います。

では、根拠を持って打つことができるプレーヤーはどう考えているのでしょうか?まず、ドライバーではなく、3番(スプーン)を選択。少し左寄りに体の向きを合わせて軽くスイング。ボールは思いのほか、左に出ましたが、斜面に当たってキックし、バンカー手前のラフまで転がってきました。

セカンドショットの位置はグリーンまで200y地点。そこで9Iを選択。120yほど打って、3打目はグリーンまで80yの位置につけ、3打目で見事にグリーン中央にオン。そこから2パットし、ボギーでこのホールを終えました。どうですか?これも仮定の話とはいえ、いかにもありそうな光景ですよね。

では、一つ一つ、根拠を見ていきましょう。

<根拠1>
ドライバーだと230y付近のバンカーに入る可能性があるため、3番を選択、さらにOBを避けるため、ミスが許される左の斜面方向に体を向けた。

<根拠2>
残り200yのセカンドショットで9Iを選択したのは、ロングアイアンでのラフからのミスショットを防ぐためと、2オンを狙いにいって、ガードバンカーに入るのを避けるため、バンカーまで届かない9Iを選択。

<根拠3>
3打目の残り80yは、かなり練習を積み、グリーンに乗せる自信がある距離。わざと80y残すようにした。
このように、その1打を打つときにどんな根拠に基づいたのかを考える事がコースマネジメントなのです。

どうですか?具体例を挙げれば、普段、コースでいかに何も考えずに打っているか思い当たる節がある方も多いと思いますよ。

さて、ここで、根拠3にある、わざと80y残したというところに注目してみましょう。コースマネジメントを考える上での鉄則は、ピンから逆算して考えるということです。今回のケースでは、80yが得意なので、わざと80y残るように2打目を打っているわけですね。

もちろん、100yが得意なら100y残しでもいいし、50y残しでもいいわけです。自分の得意なアプローチの距離を残せるように引き算すればいいのです。

今回のように、400yで80y残したいなら、
400-80=320
この320yを2打でいけば、
3番200y+9I120y=320となり、計算どおり3オンとなるわけですね。

ところが、初心者ゴルファーはなかなかそこまで考えが及ばないですよね。

最初にドライバーを握って失敗、プレーイング4からの4打目も自分の得意な距離とは限らず、やはり失敗して、バンカーへとなってしまうわけです。

危険なゴルフ場の罠を避ける

では、何のために、こうした根拠を持ってプレーする必要があるのでしょう?

上記の例でいうと、上手な人なら、ドライバーを握ってもフェアウェイにボールを運べるし、その位置から2オンできるんじゃないの?と思う方もいるかもしれません。

確かに、その通りなんですが、ゴルフ場には多くの罠が張り巡らされ、そう簡単にパーを取らせないように出来ています。一番危険なのはバンカーや池といったハザードですね。フェアウェイから打つのと、バンカーから打つのでは、明らかに違いがあります。

こうした危険箇所をあらかじめ避けて、どういうルートでボールを運ぶのかを考えることがコースマネジメントなのです。そこが、ゴルフというスポーツの一番楽しいところなのです。

こうしたところで経験の差や考え方の違いが出るからこそ、年配の方や、女性、子どもが若手男性とプレーした時に、飛ばし屋の若い男性が負けたりするのです。ゴルフは飛距離だけではないのです。飛ぶ方は飛ぶ方なりの、また、飛ばない方は飛ばない方なりのマネジメントを考えて、プレーすることが何より大事なのです。

得意な距離を身に付ける

また、上記の例でいうと、80yの距離が得意なので、わざと80y残したということですが、初心者の方は自分の得意な距離をしっかりと身につけておくことも重要です。

なにか物差し的なものがあったほうがコースマネジメントが有利になるからです。得意な距離はこれから身に付けるという方は50yを参考にすることをオススメします。

ピンの位置から逆算するという考えでいけば、50y残しは切りもよく、計算しやすいですし、だいたい50y付近には目印の杭などがあり、目印が見つけやすいという利点もあります。

練習場では、何度も何度も50yを練習して、10球打てば10球とも50y先の狙ったところに運べるように練習してみてください。そういう練習も、いわば、根拠のあるプレーをするための根拠のある練習なんですね。なんでも、漠然とするより、目的意識をもってやったほうが練習の質もあがりますし、上達も早いものです。

ここで、もう一つ突っ込んだ考え方をしてみましょう。50yを打つのに使用したクラブは何ですか?おそらく、SWかAWだと思います。では、PWで50y、9Iで50y、8Iで50yとそれぞれ打ってみてください。おそらく最初は飛びすぎてしまうでしょうね。

しかし、ボールが深いラフにある場合など、ウエッジでいつもの振りでは芝に負けて50yをショートしてしまう時もありますよね。そんな時は思い切って9Iで50y打ってみれば意外と楽に行けたりします。ゴルフはどのクラブを選択するかも含めてマネジメントなのです。

50y飛ばすにはAWで、それ以外のクラブは使わないと決め付けるのはマネジメントの観点からいえば、考え方を狭めてしまうことになります。

そういう意味では、番手どおりの飛びで芯に当てる練習もいいですが、7Iで100y飛ばす練習や、8Iを使ったランニングアプローチなどいつもの練習にちょっと根拠と目的意識を加えることで、飛躍的に向上心は上がります。

ショートホールはどうするのか

さて、ミドルホールやロングホールならピンから逆算する考えで、残ヤードも計算してというのは理解できたと思いますが、ではパー3のショートはどうするのかということですよね。

もちろん、1打でグリーンを捉えて行くわけですから、残ヤードなどはないといえばないですね。でも、実際にグリーンに一発で乗りますか?なかなか乗らないものですよね。

まず、ショートホールというのはそもそも難しく作ってあることが多いです。一番の難しさはティーグラウンドの高さとグリーンの高さの高低差です。打ち下ろしや打ち上げなど、グリーン面と目線が合わないことが多く、錯覚により距離感を誤ってしまうケースがあります。さらにガードバンカーも多く、グリーン奥もOBゾーンになっていたりして、いわば罠だらけです。

そんなショートホールのマネジメントは手前から攻めて行くことです。グリーンに乗らなくても花道あたりにボールがあればまだまだパーは狙えます。私の場合はグリーンセンターまで140yだとすれば、そこから-10yして130y打つつもりで構えます。

そうするとようやくグリーンに乗るか、少し届かないかぐらいになるケースが多く、大きなミスにはつながりません。うまくいけばそこからランが出てピンに絡んでくれることもありますし、ピン位置より手前に落とすと思えば、そんなに大振りする意識を抑えることもできますから、メリットもあります。

距離は合っているんだけど、ボールはバンカーという結果より断然いいですよね。しかも、大体においてショートホールのバンカーは難易度が高いんですよね。

高低差を克服するには、ボールを打つまえに、自分の打球の放物線をイメージすることも重要です。打ち下ろしの場合は普段通りの球筋で打つと、ボールが高く出たように思いますし、打ち上げでは逆にボールが低く出たように思います。打つ前から視覚的な罠に惑わされると、すくって上げてやろうなどと思ってミスにつながりますから要注意ですよね。

いずれにせよ、ゴルフは理屈で説明できた方が、たとえ失敗しても納得できますし、自分の考えた攻略プラン、いわゆるマネジメントが間違いであったなら、それはそれで次回の反省に活かせます。深く考えずに打ち、結果に一喜一憂するのも悪くはないのでしょうが、上達を望むなら、もう少し理論的にゴルフを捉えてみるといいかもしれません。

その日の天候や風向き、芝の長さなど、同じ状況で打つショットはもう2度とありません。単なる1打ではなく、自分なりの理屈や考え方に基づくスイングを練習しておけば、コースで間違いなく役にたってくれると思います。さあ、考えるゴルフ、実践してみませんか?

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