進化を続けるボール。ボールの科学のお話

プレー・クラブ

ゴルフはボーリングと並んで自分が使うボールを自分で選ぶことができるスポーツです。しかしいざ選ぼうとするとメーカーの説明を読んでいるだけでちょっと眩暈がしてきます。いくつかのボールの説明を読んでいるともうどれが良いのだかまったくわからなくなってしまいます。そこで今回は基本に立ち返ってボールの基本的な性能、ちょっと大げさに言うと科学についてお話してみたいと思います。

ゴルフボールは科学の粋?

アメリカのPGAツアーでは平均飛距離300ヤード超えが当たり前になってきました。プロだけでなくアマチュアでも若い人で250ヤードくらい飛ばしてくる人も少なくありません。
これはクラブの進化はもちろんですがボールの進化も大いに関係しているといえるでしょう。
ではボールはどういった点が工夫されているのでしょう?それがわかればボール選びの参考になるかもしれません。

ディスタンス系とスピン系はなにが違うのか

ボールの選び方といった記事を読むと必ずと言って良いほど「ディスタンス系」と「スピン系」にボールが分類されています。名称を見れば飛距離重視なのかスピン重視なのかという区分けなのはわかるのですが、そもそもなぜこのように分かれるのでしょうか?
ディスタンス系と言われるボールが反発力が強くてスピン系よりも遠くに飛ぶ、といったことではありません。一般のアマチュアが飛距離をロスしているのはボールが曲がるために前に飛ばずに横方向に飛ぶから、ということとバックスピンがかかりすぎてボールが吹け上がってしまい、これも前に飛ばずに上に飛ぶから、というのが大きな理由です。

この欠点を補うためにスピンの量を減らして前に飛ぶように工夫しています。基本的には球離れが早いほうがスピンは減りますので、その分アイアンやアプローチでのスピンもかかりにくくなります。カバーも食いつきを減らすため硬めのアイオノマーが使われていてパッティングの打感などにも影響はあります。
スピン系に分類されるボールはコントロール性能を重視しています。ディスタンス系は「意図しないスピンを減らす」ことを目的に作られていますがスピン系は「意図した通りのスピンがかかる」ことを目的に作られていると言っても良いでしょう。
特に上級者になるとグリーンを狙うショットのスピン量、アプローチのスピン量、パターの打感といったものを非常に重視しますのでディスタンス系は使いにくくなってしまいます。

第3系とは?

ディスタンス系、スピン系以外に第3系という言葉も最近耳にします。かつてはボールは糸巻きでウレタンカバーが普通でした。その後2ピースボールが発売されコントロール性能重視なら糸巻き、飛距離なら2ピースという区分けができあがりました。
この頃ですとディスタンス系とスピン系の性格の違いが非常に明確でしたが、そもそもゴルフボールはドライバーでは曲がらずに飛んで、アイアン、とりわけアプローチではスピンがかかるのが望ましいわけです。
そのためディスタンス系とスピン系の中間的な性格のボールが開発されてきています。衝撃の大きいドライバーなどではスピンがあまりかからず衝撃の小さいショットでは一定のスピンがかかるようにコアとカバーの組み合わせを工夫しています。

好みのボールを見つけて使い続けよう

ボールばかりは実際に打ってみないと合うか合わないかわかりません。クラブのように試打というのもなかなかできませんので、気になるボールをワンスリーブ買って試してみるほか無いでしょう。月に何度もラウンドできるのであればともかく、そうでなければ試すといってもそう何種類も試すことはできないかもしれません。
そんな中でピッタリのボールを見つけるのは簡単ではありませんが、一度これと決めたらしばらくは使い続けることをおすすめします。
なぜならボールによって、特にアプローチの時の出玉の高さとスピン量が大きく違ってくるからです。毎度ボールを変えていたらアプローチの距離感が養われません。
またパターの打感も違ってくると、これも距離感に影響が出ます。

まとめ

ドライバーはまっすぐ今まで以上に飛んで、アイアンではスピンで止まりパターの打感もぴったり、といったボールはそう簡単に見つかるものではありません。
ですので現実的には自分が何を優先したいかを明確にし、ある程度選別してから試すのが良いでしょう。そしてこれ!というボールが見つかったら浮気せずにしばらくは同じボールを使い続けてください。

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