マスターズ最終日勝負が決した16番ショートホールについて

海外男子

松山選手の歴史的快挙で終わった2021年のマスターズですが、勝負がほぼ決まったのは16番のショートホールでした。
松山選手を猛追していたシャウフェレ選手が池に入れてしまった16番。なぜ池に入る危険がある左サイドいっぱいのピンを狙ったのでしょうか。
それを考えることでアマチュアの我々に必要なマネジメントのヒントも得られると思います。
中上級者の方であればなにを今更という内容かもしれませんが、あえて考察してみたいと思います。

16番ショートはどんなホール?

練習ラウンドでは、ギャラリーの前で水切りショットを披露するのが習わしになっている16番のショートホール。
ティーイングエリアからグリーンまでは池で、グリーンの左サイドも池があるホールです。マスターズは稀に例外もありますが、最終日のピン位置というのは伝統的に決まっています。2021年の16番も例年通りの左奥でした。
サンデーバックナインの上がり3ホールの最初のホールで、ドラマが生まれやすいホールといえます。

布石は15番

16番を考えるのには、その布石として15番でなにが起こったのかを考える必要があります。
14番までバーディーを重ねて追い上げ体制に入っていたシャウフェレ選手ですが、松山選手に追いつくとは思っていなかったのではないでしょうか。4打差で残り4ホールというのは普通に考えればノーチャンスです。
しかし、もはや独走態勢かと思われた松山選手が15番でセカンドショットを奥の池に入れてしまいます。
このホール、シャウフェレ選手バーディー、松山選手ボギーで一気に差が2打に縮まります。
もしも15番で松山選手が池に入れていなかったとしたらシャウフェレ選手は16番は安全に狙い池に入っていなかったのではないかと思います。

勝負に出る16番

一気に差が縮まったとはいえ残り3ホールで2打差は小さい差ではありません。
相手のボギーを待つ余裕は無い状態ですので、シャウフェレ選手としては残り3ホール全部バーディー狙いにいく必要があります。
もちろん突風で流されたのか、ただのミスなのか、その辺は打った本人にしかわからないことではありますが、少なくとも右サイドの広いほうに安全に逃げるという選択肢はなかったのではないかと思います。

16番は右サイドからピン方向に強烈な傾斜がありますので、右サイドに打って傾斜を使ってピンに寄せるのが定石ではあります。
しかし、松山選手の最終日の16番のように右サイドでボールが止まってしまうとバーディーはほとんどチャンスがありません。
また、シャウフェレ選手にしてみれば実際にバーディーが取れなくてもピンにピタリと寄れば次に打つ松山選手に強烈なプレッシャーをかけることができます。
あくまでタラレバではありますが、もしシャウフェレ選手のピンについていれば松山選手もかなりデッドに狙わざるを得ず、逆に池に入って優勝はなかったかもしれません。

アマチュアがショートホールを狙うには

最終日のシャウフェレ選手のショットだけを見れば、ただピンを狙っただけのように見えますが、どうしてもバーディーが欲しい局面でなければあそこには打たないでしょう。
もし松山選手が15番で池に入れずに16番でオナーだったとしたらかなり右に打ったと思います。
アマチュア、特に初心者初級者の方ほどショートホールでピンしか見ていません。しかしピンをデッドに狙うのはシャウフェレ選手の最終日のように、どうしてもバーディーが狙える位置に打たなければならない、という時だけです。
アマチュアの普段のラウンドではそんな状況はありません。我々は必ず外すならどこに外すか、を考えてショートホールは狙うべきでしょう。

まとめ

今回の考察はあくまでも筆者の個人的な意見ですので事実がどうなのかはわかりません。また最終日といえど上位が入り乱れている状態でしたらシャウフェレ選手の選択は違ったものになっていたかもしれません。
そんなことを考えながら見ているとゴルフの奥深さに少し触れることができてトーナメント観戦がより楽しいものになると思います。

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