2020年メジャー2戦目。全米オープンマメ知識

海外男子

世界の4大メジャートーナメントといえば、マスターズ、全英オープン、全米プロ、そして全米オープンです。2020年はコロナの影響で全英オープンは中止に。そんな中全米プロはスケジュールを変更しての開催となりました。
そんな全米オープンとはどんな大会でしょうか。その特徴をお伝えします。

ゴルフのトーナメントでもっとも難しいセッティング

ゴルフの4大メジャーはそれぞれに特徴をもっています。毎年オーガスタナショナルで開催されゴルフの祭典とよばれるマスターズ、ゴルフの歴史の原点に忠実な全英オープン、そしてセッティングの難しい全米オープンです。
ラフは非常に長く深くフェアウェイは非常に狭くなっています。距離も長く500ヤード近いパー4などもあります。またグリーンも非常に速く、アンジュレーションがきつくなっています。2020年の全米オープンでは1番のグリーンの奥から手前への傾斜が非常に強くなっていました。松山選手がチップインバーディーをとっていますがピンの10メートル以上先に打ったボールを傾斜で戻してカップインさせています。またダスティン・ジョンソン選手はガードバンカーから寄せるときにピンとまったく違う方向に打って傾斜でピンそばに寄せていました。3日目4日目とトーナメントが進むにつれてだんだんとグリーンは硬く速くなっていきます。世界のトッププロの技術をもってしても4m、5mくらいの距離は入れに行くというよりも寄せにいくようなパッティングを要求されます。
ラフは一度入るとボールを見つけるのも大変で、トッププロでも刻まざるを得ないような深さです。

フェアなセッティング

そんな難しい全米オープンですが、セッティングが「フェア」であるといわれます。ゴルフコースのセッティングは難しくしようと思えばいくらでも難しくすることができるでしょう。ラフをめちゃくちゃに長くしてフェアウェイを極端に狭くしてグリーンをローラーでカチンカチンに硬くすれば難しくはなります。
しかしそれは良いセッティングとはいえないでしょう。
全米オープンのセッティングの素晴らしいところは、良いショットには良い結果を悪いショットにはペナルティを与えるというのがしっかりしています。
良いショットを打ってもただの運でメチャクチャなスコアになってしまったりするのではトッププロの技術を見せることはできません。全米オープンでは良いショットでは良い結果が生まれるようにセッティングされています。ただしその良いショットの要求レベルが極めて高く、広いグリーンでも落としどころは非常に狭いうえにスピンのコントロールが要求されます。
グリーンがそれほど速くなく硬さがそれほどでなければグリーンに着弾したアイアンショットはそれなりの位置でボールが止まりますが、全米オープンのグリーンではバックスピンが強すぎると傾斜によっては10m、15mとボールが戻ってしまいグリーンの外に出てしまうケースもあります。逆にスピンが少なすぎると奥のラフまでボールが転がってしまいます。選手はグリーンの狭い狙いどころにボールを落とすだけではなく、ボールのバックスピンの量までコントロールしなくてはなりません。

予選会に通れば誰でも出場できる

それだけ難しい大会ですが、オープントーナメントですので世界各地で開かれる予選会に通れば誰でも出場することができます。冷やかしや「記念に」といった参加を避けるためにアマチュアの参加にはハンデキャップの制限がありますが、それさえクリアしていれば参加は自由です。ケビン・コスナーとレネ・ルッソの「ティンカップ」という映画の舞台も全米オープンで落ちぶれてトレーラーに住みレッスンで食いつないでいたプロが予選を勝ち上がって最終日に優勝を争うという内容です。
しかし現実問題として、世界最高の難易度のセッティングですから無名選手のシンデレラストーリーは難しいでしょう。

異変がおきた?2020年大会

2020年の全米オープンはブライソン・デシャンボー選手のぶっちぎりの優勝で幕を閉じました。その圧倒的なパワーはそれまでの全米オープンの常識を覆していてゴルフの未来を変えるかもしれないと言われています。
ローリー・マキロイ選手がデシャンボーの攻め方は全米オープンではもっともやってはいけない攻め方なのだが彼はそれで勝った、と言っているように本来ティーショットを刻んでもフェアウェイに打たなければならないと言われる全米オープンでラフに入れることを厭わずにドライバーを振り、普通の選手では負けてしまうようなラフから圧倒的なパワーでボールを打っていきます。最終日のあるホールでは180ヤードをピッチングウェッジで打っていました。平均飛距離は他の選手のほうが上でしたので飛ばしてねじ伏せたというよりもラフからとんでもないパワーでボールを打ち出してねじ伏せたといったゴルフでした。

まとめ

2020年は無観客でしたので、やはりテレビでみていても少し寂しさを感じました。世界最高の難易度の舞台で世界最高の選手たちが競う大会は、やはり大歓声とともに見たいものです。そしていつか日本人選手の優勝を見てみたいと思います。

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