プロが使っているクラブはどんなもの?

プレー・クラブ

ゴルフクラブを選ぶ場合、好きなプロ、憧れのプロが使っているというのは選択の際のひとつ大きなポイントになりますよね。
メーカーもそれは十分わかっていますので、宣伝のためトッププロに自社製品を使ってもらうために各メーカーは契約の争奪戦を繰り広げます。
しかしトップレベルのプロ、特にPGAツアーの飛ばし屋のプロになるとアマチュアとは比較にならないヘッドスピードです。
では実際プロはどんなクラブを使っているのでしょうか?
過去にクラブ設計の仕事を通じてプロゴルファーの方にクラブ供給をさせていただいていたことのある筆者の経験から、ちょっとお話をしてみたいと思います。

プロのクラブのスペック

プロゴルファーのクラブスペックというのは、一般的にはアマチュアにとって非常にハードなスペックになっています。
ドライバーを例にとると、ロフトは9度や8度といった非常に立ったロフトで、フェースアングルというフェースの向きもストレートに近いものになります。
さらにシャフトは市販のものよりも一段硬いものが使われるのが普通です。
あれ?ロフトはそれほど自分たちと変わらないじゃないか、と思われた方もいらっしゃるでしょうが、ここでお話ししたプロのロフトは実測値のロフトです。
市販されているドライバーのロフト表示というのは一般的に実測値よりも、かなり立ったロフト表示で販売されています。
つまり、実際には11度くらいあるのに9.5度という表示で販売されているということです。
なぜこのようなことが行われているのかというと、「実測値のロフト表記をしてしまうと売れないから」です。特にアマチュアのボリュームゾーンである10.5度のロフトの場合ブランドによっては12度近いロフトであることも珍しくありません。
過去には実際のロフトに近い12度表記で販売したメーカーもあったようですが、まるで売れなかったと聞いています。
これは「難しいスペックを使っているとうまそうでカッコが良い」とか「12度のドライバーはカッコ悪い」といった心理が日本のゴルファーには大いに働くのが原因です。これはシャフトの硬さにも同じことがいえ、Rは年配者のシャフトでSじゃないと恥ずかしいという風潮もあります。ですので、比較的やわらかいシャフトをS表記している場合も少なくはありません。

同じクラブに見えるけれど

プロ、特にメーカーにとって販売実績に直結するような看板プロに渡すクラブというのは、特別な製造ラインで作られるのが普通です。
例えば市販のヘッドと同じヘッドを使い、いくらロフトやフェースアングルを選んだとしても重量の重いクラブが必要なプロのクラブにはヘッドが軽すぎて使えません。それに下手をすると肉厚が薄すぎて割れてしまいます。
トッププロに提供するヘッドは、専用の金型を作りプロ提供専用のヘッドを作ります。もちろん見た目が変わってしまっては宣伝になりませんので、外観は市販品と同じに仕上げますが、総重量やフェースを含めた各部の肉厚などは市販品とはまったくの別物です。
またアイアンは当然のことながら、細かなロフトやライ角などきっちりと使うプロに合わせて調整されていますし、コロナ禍の昨今は制限があるようですが、通常はツアーカーといわれるクラフトマン常駐のクルマが各メーカーで用意されていて、所属プロがいつ調整依頼に来ても即座に対応できる体制を整えています。

プロはなぜハードなスペックのクラブを使うのか

プロはなぜそんなハードなスペックのクラブを使っているのでしょうか?それは単純にそれが一番「簡単だから」です。アマチュアのように見栄えやカッコで難しいスペックにしているわけではありません。一番自分にとって使いやすいセッティングを求めた結果に他なりません。鈴木愛プロが試合でたまにpingのG Leシリーズのパターを使っていますが、このシリーズはpingが女性のアベレージゴルファー向けに作ったラインで、ピンクを基調にファッション性を押し出したブランドラインです。そのようなラインのものでも、入るとなれば躊躇なく試合に投入するのがプロ。プロは1打でも少なくホールアウトするために一切の妥協をせずに選んだクラブを使っています。

まとめ

少しでも良いスコアであがるために道具に妥協しないという姿勢をアマチュアが真似しようと思っても、金銭的になかなかできるものではありませんが、選ぶ際にはブランドやイメージだけにこだわらず、試打をして結果が良いクラブを手に入れるようにすることも大切かもしれませんね。

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