素朴な疑問!どうしてパターにだけインサートがあるの?

ゴルフライフ

ゴルフのパターに今では当たり前にあるフェースの「インサート」。
ところが素朴な疑問として思い浮かぶのが、ほかのゴルフクラブにはなくて、パターにだけインサートがあるような気がすること。
そこで今回そのインサートの歴史をあらためて振り返っていきます。

インサートの歴史は打面の保護から

ゴルフクラブへの「フェースインサート」は、実は19世紀、ロングノーズ型の木製クラブ時代から存在していました。

【打面の保護】
19世紀半ばに硬いゴム球が普及すると、フェースが摩滅、破損するクラブが続出。
その対策として、牛の皮などをフェースにはめ込むということがインサートの始まりでした。
初期のものはトゥ寄りに設置されていましたが、打撃による打点の損傷や打感の改善を意図していたようです。

【クラブの高級化】
19世紀末、強度を増すためにウッド類は丸みを帯びたヘッドに移行。
インサートは小さくなりフェース中央に設置され、装飾化が進みました。
1930年代に入ると紙の繊維を圧縮したペーパーファイバーが採用されたり、象牙をはめ込むなどクラブの高級化にも繋がっていきました。

【機能面の向上】
その後パーシモンヘッド時代を経て、素材や形状は機能面の向上を求めるようになります。
ABS樹脂やアルミ、ステンレス、カーボンなどが採用され、重量や反発性能の違い、打感や打音の違いがクラブの機能として設計されるようになっていきました。

【形状の定番化】
形状はソール側が広い台形が定番化し、ビスの位置や一部のカラーを変えることで、視覚的に構えやすくなる工夫などが施されるようになりましたが、フェースインサートがないメタルウッドに移行してからは、このデザイン要素だけが残っていきました。

一気に定番化したインサートパター

メタルウッドが普及した1990年代以降、フェースインサートの高機能化はパターが中心となります。

【フェースインサートの高機能化】
1980年代台頭してきたツーピースボールの打感と転がりに対応すべく、金属ヘッドに樹脂インサートという組み合わせが脚光を浴びました。
それまでパターの打感や転がりはヘッド素材や形状、ヘッド重量で語られることが多かったのです。
インサートもありましたが、翡翠をはめ込むなど装飾的なものばかりでした。

【オデッセイのパター】
1990年代、オデッセイ社の樹脂インサートパターがヒットし、1997年にキャロウェイゴルフに買収されると、一気にパターのインサートは定番化。
ヘッド本体と異なる金属をインサートするモデルも登場して、プロツアーでの使用率も急上昇。
市場では削り出しタイプと人気を二分するまでになりました。

【はめ込み型のフェース構造】
さて、ヘッド本体を土台にして、異素材をあてがうようにはめ込むのが「インサート」ですが、くり抜いたフェース枠に異素材のフェースブレードをはめ込むのも「インサート」と捉えると、パター以外の進化も見えてきます。

【アイアン・ドライバー】
以前はヘッドの基本構造素材が金属の場合は、フェースに異素材のものをはめ込んだり付着させたりすることは用具規制で禁止されていました。

それが1992年、ヨネックスが開発したカーボンアイアンがきっかけで改訂され、認められるようになったのです。
カーボンアイアン自体は機能や耐久性、価格の面などで廃れていくのですが、このルール改定のおかげで後のダンロップ「ゼクシオ」など、チタンフェースはめ込み型アイアンのヒット作が生まれたのです。

近年のコンポジット型ドライバー、例えばテーラーメイド「ステルス」なども、チタンフレームにカーボンフェースをインサートしたものと言えます。

まとめ

改めて歴史を振り返ってみると、フェースのインサートに求められたのは、打球衝撃への対策。
衝撃を緩和しつつ、エネルギー伝達効率を高め、意図した弾道実現に近付ける。
そのために、ボールの進化に対応し続けるわけですね。

現在最も期待できる分野はユーティリティ。
アイアンの本数が減って、ユーティリティの活用が増えれば求められる機能も増えます。
その対応策として、異素材インサートに活路が見出されるのかもしれませんね。

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